リオ・ティントがダイアビック鉱山閉山後の最終生産処理を継続——ダイヤモンド事業から実質撤退へ

世界的な資源大手リオ・ティントが、カナダのダイアビック・ダイヤモンド鉱山閉山後の残存鉱石から3万3,000カラットを回収したことが話題となっている。同社はダイヤモンド生産量が前四半期比・前年同期比ともに97%減という劇的な落ち込みを記録しており、事実上ダイヤモンド業界からの撤退フェーズに入ったといえる局面だ。

閉山後も続くダイアビックの「後処理」生産

ダイアビック鉱山はカナダのノースウェスト準州に位置し、長年にわたって高品質なダイヤモンドを産出してきた世界有数の鉱山だ。その鉱山が寿命を迎えて閉山したのはここ最近のことで、採掘自体は終了している。しかし、リオ・ティントは閉山後も残存鉱石の処理を継続し、2026年第2四半期(4〜6月)に3万3,000カラットを回収した。

この数字は一見小さく見えるが、前四半期と比較して97%もの急減という文脈で見ると、いかに採掘活動が終息に向かっているかがよくわかる。2026年前半全体でも110万カラットの生産にとどまり、これは前年同期比で51%の減少に相当する。リオ・ティントは少なくとも2026年末までは最終在庫の製品化と販売を継続する方針だとされており、完全なる幕引きにはもう少し時間がかかる見通しだ。

2026年前半のダイヤモンド生産量は110万カラット。前年同期比51%減という大幅な落ち込みを記録した。

リオ・ティント、ダイヤモンド事業からの段階的撤退の軌跡

今回のダイアビック閉山は、リオ・ティントにとって単なる一鉱山の終焉ではない。同社のダイヤモンド事業全体の終わりを意味する歴史的な節目だ。これまでの主な動きを振り返ると、以下のような段階的な撤退の流れが見えてくる。

  • 2020年:オーストラリアのアーガイル鉱山を閉山。ピンクダイヤモンドの世界最大の供給源として知られた伝説的な鉱山が歴史に幕を下ろした
  • 2023年:カナダ・サスカチュワン州のフォート・ア・ラ・コーン探鉱プロジェクトの持分(75%)をジョイントベンチャーパートナーのスター・ダイヤモンド社に売却
  • 2026年:最後のダイヤモンド資産であるダイアビック鉱山が閉山し、後処理生産フェーズへ移行

こうした一連の動きは、同社が金属・鉱物資源への集中戦略を進める中でのダイヤモンド事業の位置づけ低下を示している。なお、アンゴラではダイヤモンド探鉱プログラムが継続されているものの、これが本格的な採掘事業に発展するかどうかは現時点では不透明だ。

アーガイル閉山以来、業界が感じてきた供給の変化

特にアーガイル鉱山の閉山は、ダイヤモンド市場に大きな構造変化をもたらした出来事として記憶されている。同鉱山はピンクダイヤモンドの世界供給量の約90%を占めていたとされており、閉山後にピンクダイヤモンドの希少価値と市場価格が大幅に上昇したことは、業界関係者であれば誰もが認識しているところだ。ダイアビック閉山はアーガイルほどの市場インパクトはないものの、高品質ラフダイヤモンドの供給源がまた一つ消えることを意味する。

日本市場への示唆——供給源の変化と希少石価値の再評価

日本の宝飾業界にとって、大手鉱山会社のダイヤモンド事業縮小という流れは、中長期的な仕入れ環境の変化として意識しておく必要がある動向だ。リオ・ティントのような大手プレイヤーが相次いでダイヤモンド採掘から撤退することで、世界全体のラフダイヤモンドの供給量は構造的に縮小傾向をたどりやすくなる。

日本の消費者の間では近年、ダイヤモンドの「産地」や「ストーリー」に対する関心が高まりを見せている。ダイアビック産ダイヤモンドはカナダ産として倫理的な採掘基準のもとで生産されてきたブランド価値を持つだけに、その流通在庫が市場から徐々に姿を消す過程において、一定の希少性プレミアムが生じる可能性も考えられる。

また、アーガイル閉山後のピンクダイヤモンド市場が示したように、供給終了に向けた最終フェーズの在庫は、コレクターや投資目的の購買層から注目を集めることが多い。日本市場においても、ダイアビック産の最終生産品を一つの訴求ポイントとして活用できる余地があるかもしれない。

まとめ

リオ・ティントのダイアビック鉱山閉山と後処理生産への移行は、同社がダイヤモンド事業から実質的に手を引くプロセスの最終章を象徴する出来事だ。アーガイル、フォート・ア・ラ・コーンに続き、最後のダイヤモンド資産も終焉を迎えたことで、世界のダイヤモンド供給構造における大きな担い手の一つがいよいよ退場しつつある。

供給源の縮小は短期的には市場に大きな混乱をもたらすわけではないが、中長期的なラフダイヤモンドの需給バランスや希少性の認識に影響を与えうる。日本の宝飾業界にとっても、こうした採掘サイドの構造変化を正確に把握しておくことが、仕入れ戦略や顧客への訴求において重要な視点となるだろう。

元記事

Rio Tinto Processes Diamonds from Shuttered Diavik(Rapaport)